これまでブログなるものを書いたことも読んだこともありません。お恥ずかしい話、いまだその存在意義すらわかっておりません。いつの日か必ずや皆様のお役に立てるかもしれない情報を提供できればと考えてはおります。
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五月病
今年の連休は毎日天気がよかったですね~ちなみに私は渋滞が怖くてずっと家にひきこもっていました(大笑い)。ところで五月病って何でしょう?そもそもそんな病名はありません。精神科的には”適応障害”ということになるのでしょうか。これは4月に新しい環境を迎え、理想的な将来像へ向けモチベーションを高めながら一生懸命頑張る、突っ走る、理想の上司を演じ続ける。そしてGW明け(ちょうど今頃)一気に疲れがでる。さらに理想と現実の乖離に気付き焦燥感からうつ状態へと・・・
五月病は真面目で責任感の強い方になりやすいといわれています。では自分は五月病か?1)YES→そんな医者に診てもらいたくないですね 2)NO→不真面目かつ無責任みたいで何かやですね(理論的にはおかしいですが)まさにパラドックスです。
内視鏡技師会
内視鏡staffです。先日技師会に参加してきました。胃内視鏡の際の枕の工夫、前処置における凍結咽頭麻酔、検査中の被検者へのタッチ効果、また大腸内視鏡挿入時の腹部用手圧迫法、EMRにおけるスネアリングの医師とのコラボレーション等々、comedicalとしての役割は大きく、まだまだ未熟な自分はこれからも症例を重ね鍛錬していこうと心に誓うのでした。ファイト!(H.S)
咳喘息
咳ほど不可解な生理現象はない。外界からのウイルス、煙等の呼吸器への侵入を防御する、気道に溜まった痰を排出する等、生体の合目的な反射とされているが、些かそのタイミングがよろしくない。大切なお客様からの電話に出た途端、何で今出るかなとばかり連発する。風邪をひき頭が重く、剰え咽喉の痛みとともに治っていたはずの虫歯まで騒ぎ出し、こりゃまずいとばかり早々と床に就いた途端、何で今出るかなとばかり連発する。医学的には眠気→副交感神経優位→気道の収縮→※易刺激性↑→咳→不必要な呼吸→気道粘膜の乾燥→※に戻るを100回以上繰り返す→不眠→抵抗力・免疫力↓→易感染性↑→気管支炎・肺炎へ、といった恐怖の無限スパイラルに突入するのである。咳を引き起こす要因として感染以外には、逆流性食道炎というトリッキーなものから肺癌や心不全というやばいもの、なかんづくアレルギー素因でもあればさらにやっかいなstageへ進展する。即ち咳により気管支の平滑筋が収縮し、かつ気管支粘膜が浮腫を起こし気管支喘息と同じ病態=咳喘息となるのである。とまあメカニズムは理解するのであるが正直、でもそーんなに出る? 生理的な防御反応の範疇を大幅に凌駕してね? ていうか2発目以降まじで必要? 人間がこれまでさんざん進化して自然治癒力を高めてきたあげくがその程度? とまで思えるのである。
熱中症
水谷豊主演の“熱中時代”をご存知だろうか? 困難に体当たりで熱中する北野先生と小学生達の感動学園ドラマである。そこで問題。「“熱中時代”に熱中するあまり熱中症になった人は自然界に存在しない。これを証明せよ」いわゆるフェルマーの最終定理である(ウソ)。証明はいたってlogicalだ。「“熱中時代”の放映は1981年まで。熱中症という病名が使われだしたのは1995年頃から。Q.E.D.」。昔は日射病(または暑気あたり、かくらん)といっていたものがいつのまにか定義が拡大しているのだ。なぜか?
炎天下での運動・作業中に倒れるいわゆる日射病以外に、室内でも体温・水分調整ができず発症するケースが増えてきたため、さすがに“日射病”じゃ塩梅が悪くなってきたんじゃあないでしょうか。ところで熱帯の人々は熱中症が多いかというとそんなことはない、逆に少ないのである。暑熱馴化つまり汗腺機能が高く基礎代謝が低く、暑さに負けない体に進化しているのだ!
温帯人も負けてはいられない。そもそもエアコンを上手にご利用、水分をこまめに摂取しましょう、などと軟弱なことをやっているからそんなことになるのだ。あえて梅雨の晴れ間に例の計画を決行した。自宅の余分な土1㎥(業界用語でりゅうべえ)と実家で必要な土1㎥が一致。移動するだけだ。正午、外気温35度、南中高度がハンパない。戦闘意欲が漲ってきた。北鎌尾根、大腸内視鏡手術に匹敵するあのわくわく感である。普段から扇風機生活の私には暑さに対し自信があった。さあ所さんの仇だ、熱中症かかってこいやあ。まずスコップ、ふるいで石・ガラを取り除き一輪車へ。米ぬかですき込んだ土から良い香りがする。まだ大丈夫、贅肉も溶けていく・・。先日の豪雨で湿った土がでてくるとさすがにスコップが重い。ふらついたところへ蚊に刺されバラのトゲが刺さった。熱疲労(=脱水症状)か。むかついたので水をがぶ飲みした。作業再開。しばらくして手足がややしびれてきた。今度は熱痙攣(=多量の発汗に対し水だけを補給したためNa濃度が低下した症状)である。それもお見通し。スカイウォーター(コーナンで買った激安スポーツドリンク)をがぶ飲みした。すぐ復活。たまった土をいよいよ愛車キャンディ号(軽トラ)へ。これが結構きつい。途中でめまいがして座り込み、ブルーシートが白く見えた。熱失神(=末梢血管が拡張し血圧が低下)の前兆か、これも想定内。しかしここから先になってしまうと医師としての品格を問われかねないので(すでにないかそんなの)「今日はこの辺で勘弁してやろう」と捨て台詞を吐き、クーラーギンギラギンの室内へさりげなく逃げ込んだ。♪そいつがおーれのやり方。そして適度な温度設定を常に心がけ、こまめに水分と適度な塩分をとり、汗疹(=あせも)を防ぐため丁寧に汗をふき取った。文明人最高!
※下線部の答:快適な生活を求めるあまり環境変化への順応が脆弱になり、結果“熱中症”なる不可思議な病名が発生したこと
(諸説あります)
便秘
ミニチュアダックスのキャンディ(以後Cとする)をつれて堤防をドライブしてみました。麗らかな秋の風が心地よかったものですから窓を全開にし上半身を乗り出したCを肩にのせお互い有頂天になっておりました。すでに暴挙でございます。普段ろくすぽ散歩もしないCはグランドの野球少年たちを見、また生まれて初めての川を目の当たりにとても感動しているようでした。その様はあたかも初めて海を見て涙を流すブッシュマンを彷彿とさせるものでございました。興奮してきたCは大喜びの体で尻尾を直立させ、やおら腹部をよじって歓喜の踊りを始めました。遠くに富士、目の前に肛門、こりゃコントラストがあってなかなか乙なものじゃわい、と悦に入るやいなや目の前にポロリと何かが落ちてまいりました。まさか・・そういえばCは便秘だったのです。受動的な腹部圧迫が腸蠕動の口火を切ったのでございます。イントロも束の間、ポロポロとBrown
Sugarが飛び出てきます。それはもう臭いの臭くないのといったらございません。Cは申し訳なく思ったのかこちらを振り向き、視線が合った刹那「パパ、あたいは幸せよ」とおそらく言ったのでしょう。それで免罪符を得たつもりなのかCはいよいよ本気を出してまいりました。8ビート、ロケンロール、調子の良い鍛冶屋といったところでしょうか。驚愕、悪臭のあまり不覚にもハンドルを揺らしてしまいました。すると後ろからおそらくヨン様、いやヤン様が激しくあおってくるではありませんか。恐怖、屈辱のあまり今度はアクセルを踏み込んでしまいました。前方の車にすんでのところまで接近し、見ると金色に輝く8が4つも並ぶこちらもおそらくヨン様、いやヤン様とお見受けいたしました。如露亦如電※、人生これまでかと地団駄を踏み、愚図りだした私をCは喜んでいると錯覚したのでしょうか、今度はポロからニョロへとやんわりひねりを加えてきやがりました。「パパ、あたいのS状結腸の形どう?」。死を覚悟した人間にはもはやそんな戯言など到底耳には入りますまい。走馬灯の序でに一瞬未来を垣間見ました。とくダネ!「ウン転中にウンを浴びるもウン良く軽傷ですんだようです(嘲笑)。どうせこれまた中国でしょ?(失笑)」
結語 頑固な便秘に対し運転中の腹部マッサージが著効した稀有な1例を経験した
如露亦如電【にょろやくにょでん】:「人の命は露の如く儚く、稲妻のごとく一瞬で消え去る」という意味
インディアンポーカー
服を着たおすもうさんの映像ばかりで埒が明かないので、ひとつ医療に奇策はないものか、ひねもす思案した・・・ふと空前絶後かつ超絶怒涛な計画を思いついた、いえーい!
いっそこの世から鏡とカメラをなくしてしまう。即ち自分の顔を認識する術がなくなるのである。そもそも自分の顔を認識できる生き物など人間ぐらいしかいないんだから、美しく加工したお顔をインスタに上げられなくなったからといって文句を言うのは筋違いである。さて、よもや自分は不細工なんではなかろうかという突然の強迫観念にかられると人はどうするのだろうか。化粧はできなくなり当座とりあえず美容院へ行き、はたまた思い切って美容整形にトライする。しかしその出来栄えを実感できないとなると今度は第三者の厳しい目をもってそれを確認することになる。そこで新手の商売が発生する。”正直の店、おだて屋”だ。自分が本当に容姿端麗にになったのかをこの店で確認するのだ。「あら、あなた稲刈正雄さんにそっくりねえ」「君まじマブいね。昔のキャロライーン洋子にクリソツだぜ」と言われホッとするのである。その後よせばいいのに上野駅前でダメ押しとばかりに似顔絵まで描いてもらう。するとそこには稲刈正雄ではなくナイパチーノが、キャロライーン洋子ではなくヨシナガーン小百合が描かれている・・・ん?そこでようやく気付くのだ。すべてが虚構なんだと。つまり皆お互いが相手を慮り忖度(そんたく)し合っているだけなんだと。そしてキャンパスに描かれたものこそまさしく偽りの美、“忖度映え”なんだと。ますます疑心暗鬼になると最後に信用できるのは自分の目である。見えもしない顔面への執着など忘却の彼方に捨て去り、そこに確認できるのはただ首から尾側かつ腹側面だけとなる。なお触覚は嘘をつかない。すると街中には有酸素運動の鬼がひしめき、筋トレグッズ、ササミチキンが馬鹿売れし、かのT大ボディビル部は復興を遂げる。女性はシンボルであるバストの自己触診に余念がない。こうして生活習慣病はいつしか淘汰され、増え続ける乳がんでさえもすべて早期発見にて撲滅される。これぞまさしく国民総筋肉、天寿マッチョう、いや全う計画の全貌である。
(個人の意見です)
ピラミッド
弱肉強食のピラミッドを図鑑で見た。底辺から分解者、草食、肉食動物と続きその頂点には猛禽類が君臨し、横にちっちゃく人間の赤ん坊の絵が描かれている。堂々とおっさんが頂点でふんぞりかえった絵でよさそうだが一体何に気を使っているのだろうか。ところでその偉大なる人間様を蝕む癌はやはりブドウ糖を消費しまくり増大するのであるから生態系に仲間入りさせ一旦人間の上に置いてみよう。然るにその癌を切除する外科医はさらにその上となる。やった!ピラミッドの頂点だ!てっぺんとったぞ! 歓喜もつかのまに医療ロボットが登場。名前もda
Vinciとハイカラである。保険適用となる手術は今のところ泌尿器科領域位だが徐々に拡大しつつある。しかしロボットを操れるのは限られたスーパードクターだけだ。すると必然的にあぶれる医者がでてくる。ただでさえなり手が減りつつある外科医にこれは微妙な存在だ。早晩きっとこんなことが起こる。当直で疲れきった外科医「何がダビンチ、いやヴィンチだ、あん、すかしやがって。どだい電源がねえとなんにもできねえ鉄くずだろうが、ばーろー、こーしてくれる、えいっ」(デンブチ)。隣のレントゲン室ではこんなことも。所見だらけのCTの読影で発狂寸前の放射線科医「過去の画像とうまいこと比較しておしゃれなコメント出しやがってえ。専門医の所見にけちつけてんじゃねえよ、だーほ。AIだか何だか知らねえが、あん、せいぜいAI将棋くらいにしとけぼけえ、ま、藤井四段の方が上だろうけどな、ふん」(デンブチ)。当分ピラミッドの頂点は人間である。
(実際に頂点に立つのは危険ですので絶対にマネしないでください)
笹舟
私が大病院の小外科医者だった時分、大物患者の小物手術を担当することがあった。手術前にはムンテラ(Mund Therapie [独] )つまり口頭で患者さんへ合併症を含め説明し納得していただき、笑顔でお互い握手をし一緒に手術がんばりましょうね、といわばスクラムを組むのである。ところがインターネットの普及に伴い医療訴訟が増えて来るとムンテラだけでは不十分という見解が優位に立ち必然的にIC(Informed
Consent)即ち、起こりうる全ての状況を正しく説明し十分に理解してもらったうえで書面にsignしてもらうこと、要するに同意書が必須になったのである。私は正直これが嫌いだった。これじゃまるで某国の家電の分厚い取説のようだ。こんなこと絶対ありえない、誰もそんなもん電子レンジに入れたりしないって、である。型の如く前半のムンテラが終わり「まあ大船に乗ったつもりですべてお任せください」と言うと「先生、その船に穴は空いてないでしょうな、なんつってワハハ」。まさに家族団欒である。ところが後半に突如妙ちくりんな書類が出現するのである。「ごくまれに出血のため輸血をする場合がございます。さらにまれながらその血液中に検出できないウイルスが混入している場合がございます。さらにまれには死亡する場合がございます。よろしかったらここへサインをお願いいたします。」
こんなopeで輸血するわけないだろ、今までの雰囲気がぶち壊しじゃねえか、と心の中で叫んだ。「わ、わかりました。まあよろしくお願いします。ちょっと怖いけど、気をつけてやってね、先生」
大船はいつしか消え、笹舟がぽつりと浮かんでいた・・
(でもやっぱりICは重要です)
有酸素運動
私は日頃からLDLの高い患者様に、脂質が高いのでもっと運動をして下さい、と指導しています。本来ここで“有酸素運動“と言うべきなのですがどうもこれがうまく言えません。何故かというと、実はその、ええと、ちょっと言いにくいのですが、もうこの際はっきり言っちゃいましょう、ただしあくまで個人の意見ですよ、そうです、バカみたいなのです、この言葉のニュアンスが。間抜けすぎて小っ恥ずかしくなるのです。一体地球上の誰が酸素の無いところで運動するかっちゅう話です。能書きはいいから兎に角、腕立てでもランニングでもやりゃあいいんです、いつやるか?
今でしょ! などと偉そうな事を言っておきながら私は一切の運動をしておりません。地下駐車場の平日定期券を武器に一日にたかが百歩も歩きません。スポーツドクターなどと洒落込みながらそもそもスポーツ自体をしておりません。仲間との飲み会では学生時代運動部で全国制覇を目指していたなどと武勇伝の如く語りながらそれで満足しております。すでに当時の倍以上歳を食ってしまった・・一体いつの話しとんじゃ。腹が出、ズボンのフックがふっとび、財布の中から数年前に買った区民プールの回数券が9枚も出てきました。たった2回だけ行って2年間の有効期限が切れているのです。自分が余りに情けなくなりました・・自己嫌悪を振り払い、奮起し再び泳ぎ始めることにしました。港区スポーツセンター。とてつもなくおしゃれでびっくり仰天いたしました。更衣室には老若男がひしめいております。「あいつの身長130センチー、おらのチン長13センチー、ひゃひゃひゃっ」クレしんばりの餓鬼が走り回ってございます、や否や平手打ちをくらいました。白ふんどしの老人でした。担任なのでございましょう。「騒ぐんじゃない。この嘘つきが!」。長さが気に食わなかったようです。とにかくここにはなんでもいる、急に気が楽になりました。同時に大迫ハンパないモチベーションが湧いてきました。よおし有酸素運動しまくってやる、まずは片道25m×4泳法×10セット=1kmだ!
1コース。意気込んだものの早速25mで疲れて小休止。するといきなりトンボターンの足が飛んできました。あっぶねえなあ、おちおち休んでもいられません。2コースへ。背泳ぎをしていたところ腹をどつかれました。見るといつのまにやら直角にひん曲がり進路妨害していたようです。誰ともわからず怖くなり水中で「しーましぇん」と謝りながら3コースへ。今度はバタフライで足がつりおまけに息継ぎに失敗して大量に誤嚥しました。げほげほっ、くっくるしい、あと足がいてえ。途中で立ってしまいました。下手くそなバタフライほど危険なものはございません。ぐぇっぐぇっ、これ確実に肺胞まで入ってるし、まじこれ絶対チアノーゼきてるし、肺水腫はもっと苦しいのか、などとぐだぐだ思案していたところ、ニアミスの平泳ぎおじさんにめっちゃ白い目で見られ、あげくに遠くから係員が「大丈夫ですか?」半笑いでございます。恥ずかしくなり水中で「だいじょうぶでしゅ」と言いながら4コースへ。ここは平和でした。とりあえず危なっかしいのでクロールだけにし何度も往復しました。有酸素運動が余分な脂質を燃焼させミトコンドリア内でアセチルCoAを経てATPが生成、同時に無酸素運動が糖質を利用しグリコーゲンから乳酸への解糖またはクレアチンリン酸の分解によりATPが生成されともにエネルギー源なるのだ・・ぶくぶく、ゆうさんそ、はあ、ぶくぶく、むさんそ、はあ、これを念仏のように唱えながら息継ぎを繰り返し無心に泳ぎました。調子に乗ってクイックターンを決めるつもりが足が届かず、水中にいながらにして顔から火が出ました。煮沸現象でございます。息を止めたまま潜水で可及的遠く5コースまで逃げに逃げました。顔を上げると真横をものすごいスピードで泳ぐおじさんがおりました。おじさんは端で休みながらお仲間と話していらっしゃいました。どうやら常連さんのようです。筋骨隆々として格好いい。自分もいつか常連となりあんなふうになりたい!
フェルプスに例えてフェルさんと名づけました。無論勝手に。フェルさんの泳ぎはダイナミックです。1ストロークに1回しか足をかきません。ほとんど息継ぎをしません。腕の入水でしぶきひとつ上がりません。か、神っていらっしゃる。必死に真似するも到底追いつけません。まあしょうがない、目的は有酸素運動だ、と言い聞かせ遮二無二泳ぎ続けました。いつしか休憩時間となり全員がプールから上がりました。その刹那我が目を疑いました。そこにはきょっ驚愕の光景がっ!(ここで一旦CM入ります)
あのフェルさん、なんとおなかが出ている、出まくりやがっている、まるでビヤ樽だ! すかさずフェルプスから“泳ぎの達者なおっさん”に格下げいたしました。無論勝手に。ふと窓を見るとビルの間から西日がさしておりました。思わず夕陽に向かって叫ばずにはいられませんでした。「ゆうさんそのばかやろ~」無論心の中で。
(それっきりプールには行っていません)
生きとし生けるもの 前篇
小学校の頃、石井君と一緒にヘビをいじくって遊んでいました。体に巻きつけることはできたのですが、さすがに彼のように舌と舌をくっつけることまではできず幼な心に挫折感を味わったものでした。東大宮駅前にいる大勢のハトを1羽拝借し、手懐けて手品をしようと図るもまったく懐かず失敗、縁日で買ったヒヨコは布団で温めすぎて動かなくなり、挙句には飼い犬のボビーが目の前で車に轢かれるなど、生き物を育てるのは楽しみ以上にそれを失う悲しみによってその尊さを知るものだと実感しました。大人になっても生きとし生けるものを大切にしようと考えていました。またその尊さとそれを救う素晴らしさを子供たちにも教えようと思っていました。西片に住んでいた頃、赤門向かいの往来をいくらか入った金魚屋で亀を見つけました。おじさんが「縁日で売ってるミドリガメ、あれ危ねえよ、耳が赤いのが目印だい。でもこっちは大丈夫だよ」と教えてくれたので銭亀を二匹飼うことにしました。早速カメ吉とカメ子と名づけました。カメ子は凶暴で、ある日カメ吉の尻尾を噛み切ってしまいました。しかしその後何事もなかったかのように仲良く寄り添って遊んでいました。月日は流れいつしか子供たちは私より上背のある立派な青年となり、カメたちも両手でないと持ち上げられない位に大きくなりました。そろそろ水槽では狭かろうとホームセンターで巨大なたらいを買ってきました。すると二匹はのびのびと泳ぎ回れるようになりとてもうれしそうでした。私もうれしくなり調子に乗って、もっと自然を感じさせてあげよう、とたらいごと庭の木陰に置いてみました。これが不幸の始まりでした。家に帰ると折柄のゲリラ豪雨のため、たらいの水がなみなみとしていました。こりゃあ水を替える手間が省けたな、カメさんも喜んでるぞ・・・ジャックダニエルを片手に私は完全にメートルがあがっていました。夜中にハッと気付き自らの愚鈍さを呪いました。たらいにオーバーフローの穴を空けるのを忘れていたのです。ま、まさかっ、案の定カメが一匹消えていました。いなくなったのはどうやらカメ子のようです。裸足で家を飛び出し豪雨の中、辺りを必死に捜しまわりました。水の流れる方へ果てしのない暗夜行路をひた走りながらいろいろなことを考えました。初めは純粋にカメ子の身を案じその尊い命を救おうと必死でした。しかしその後、自分は悪くない、良かれと思って大きなたらいにしてやったんじゃないか、そもそもカメ子はカメ吉の尻尾を噛みちぎった悪党じゃないか、という自分勝手な防衛本能が頭の中を支配してきました。挙句の果てなんと、子供たちにバレないような隠蔽工作まで考えるようになっていました。あくる日、朝な夕な捜し歩くも叶わず、やがて悪魔の囁きが聞こえるようになりました。「先生は医療ミスをしてもそうやって隠蔽し責任転嫁をするんですかぁ」。幸いこれまで医療ミスは経験していませんが、日々細心の注意を払っていながらも潜在的にそんな不安があったのでございましょう。数日良心の呵責に耐えた挙句、家族にすべてをゲロし楽になりました。それからというもの残されたカメ吉に対する愛情は倍増しました。「かめあり、かめいど、かめやまんねんどお~」家族中で愛で、慈しみ、愛玩しました。幸せな日々が続く中、ある日ベランダに出てみるとたらいの横に黒い羽が落ちていました・・・
(中編に続く)
生きとし生けるもの 中編
ずるがしこい黒い鳥(以後Kとする)をTVで特集していました。胡桃を道路に落として車に踏ませ中身をいただく、コップの水が深くて届かないときは小石を落として水位を上げまんまといただく、Kの知能は小学生並みだそうです。そういえば昔、東大宮はエサが少ないので毎朝、東北線、赤羽線(現在は埼京線で一本)とパンタグラフの上を乗り継ぎ池袋まで出勤したらふくご馳走を仕込んでまた帰ってくる、なんていう都市伝説がありましたがまんざらウソでもなさそうです。我が家も相当Kの被害に遭っています。頭上に糞をかけられたり、洗濯物のハンガーがなくなったり、ゴミを荒らしそれを町内会に怒られたり、きゅうり、みかん、ブドウ等、もう一日待って明日収穫しようと思うときに限って翌朝全部なくなったり、到底数え切れません。最近巣作りなのか早朝からガーガーわめきちらし家族みんな睡眠不足に陥っています。そしてついにその日がやってきました。ベランダの黒い羽はすぐにKのものとわかりました。そしておそるおそるたらいを覗くとそこにはこびりついた苔だけが空しく漂っていました。大切に育ててきたカメ吉が忽然と姿を消している・・にわかにこの超常現象が理解できませんでしたが、Kにやられたとわかりしばし呆然と立ちすくみました。しまった、網を張っておけばよかったという自責の念は、カメ子でやらかした失態いわば古傷をえぐられるような痛みとなり、まもなくKに対する怒りに変わりました。カッカッというあざ笑う声が聞こえ、見上げると電線の上に下手人いや下手鳥と思われるKが糞をたらしながらこちらを見下ろしほくそ笑んでいました。こちらも頭がカッカッし、常軌を逸した私はすかさずパンツ一丁もかまわず家を飛び出し、こともあろうに玄関前の階段を踏み外し右足首を内反捻挫してしまいました。昔スノボでやらかした古傷と同じ部位にもかかわらず、復讐の鬼と化した私にはもはや痛覚などありませんでした。しかしさすがにこの格好では大田区不審者情報に通報されるのは必至と思った私は、一旦家に引き上げ身だしなみを整え深呼吸をし、確実にKを懲らしめる作戦を練りました。次々と頭の中にみなぎる奇策の数々・・これまで緊急手術のときでもこんなにアドレナリンがでたことはございません。早速マンモグラフィー読影用の巨大な虫眼鏡を探しました。へへへ、これで奴にアッチイ思いをさせてやる。私は半笑いでした。すでに脳内はセロトニンだらけです。しかししばらくしてそれが無意味なことがわかりました。1)K越しに太陽があること(自分が黒焦げになります) 2)レンズの焦点距離が到底電線に届かないこと、以上の理由より・・ていうかそんな小学理科レベルのことをしばらくして気付いた自分はもはや心身喪失状態といっても過言ではありません。奇策その2、スリングショットいわゆるパチンコです。ひらめきも束の間、K越しに隣家の窓があり割ったら一大事、却下。奇策その3、鷹の声をネットで探してラジカセに録音して大音量で流す・・絶大なる効果が期待されるもカセットテープが見つからず却下。そして運命の奇策その4。嵐山のお母さんが農協からもらってきた目玉状の風船(直径80cm位、黒赤黄の同心円、鳥害から農作物を守る、田んぼとかでよく見かけるアレ)を将来なんかで役立つかも、と拝借していたのを思い出し大急ぎで納戸の中をひっくり返し探し出しました。勝利を確信した私はブツを握りしめ大笑いで階段を駆け上がりました。独り言で「ほーら役に立ったぁ」もはや狂人でございます。居間を走り抜ける際、家族の冷たい視線を感じました。父親としての威厳を失ってもいい、減点パパで伸介さんに全部×をくらったって構わない。普段穏やかなジキル博士は昼間にもかかわらず完全にハイド氏に変身していました。カメ吉のあだ討ちの一念だけで私はすべてを捨てベランダに飛び出しました。くらえ~目玉風船だ~! 伝家の宝刀を振りかざしました。ところがKは微動だにしません。うそだろ。今度はもう少し高く振り振りし、さらに鷹的な声をサラウンド気味に加えてみました。しーん。まじかよ。唐突に大学の生理学の授業を思い出しました。丸いものが横に二つ並ぶとサルの赤ちゃんはそれを目で追うという実験です。一つでも縦に二つでもだめなのです。そ、そうか、ひらめいた! 思わずアルキメデスの真似をしてエウレカと叫びそうになりました。もんどりうって納戸にもどり、二つ目の目玉を奪取した私は、ついに最強のスーパーサイア人としてベランダに再登場しました。徐々に私の脳内はノルアドレナリン優位になりついに、どかーん! 二つの元気玉を両手にかかげた瞬間、Kはゲッゲッゲーとおぞましい声を発し羽を痙攣させながら逃げていきました。歓喜の瞬間でした。やったー、ちょー気持エエ、なあんも言えねえ! 私はvictoryのスタイルのまま両手で目玉を上下させ、金メダルを取った喜びを真っ先に家族に伝えるため窓越しに振り返ろうとしたそのときでした。道路に人影を感じ見下ろすと、ゴージャスなおばさまが軽蔑の白い目というか完全なる白目でこちらをご覧あそばせておりました。それはまさしく下にいるのに上から目線、すなわち重力の反転現象に他なりません。ラップ調に「まあ、あのざま、なんざましょ」、読唇術では確かにそう読み取れました。不審者情報として通報されれば今度こそ瞬殺で身元が割れます(なんてったって不審者が自宅にいるんだから)。やばい・・必死に洗濯した目玉を取り込んでいる体を装うもあまりに苦しく、目玉で顔を隠しながら居間に逃げ込みました。暖かい部屋と冷めた視線の中で、羞恥心ととりあえずの達成感を味わいソファに横になりました。するとたちまち脳内がメラトニン優位となりうたた寝しました。ふと目を開けると窓の外に絶望的な光景が広がっておりました・・・(後編に続く)
生きとし生けるもの 後編
ノンレムからレムへ眠りが浅くなり、ふと目覚めると窓越しに電線に複数のK(以後Ks)がトチの木の暗い葉の間から見えました。そしてKsは混声合唱団となり勝利の歌をCODAにかけクレッシェンドで高らかに歌い上げておりました。それは数々の詭計を弄するもすべて失敗に終わった私の無能さを暗喩しておりました。私は屈辱のあまり完全に理性を失い、その時点でもう脳内に何のホルモンも出なくなっていました。あるのはただKsを根絶やしにしてやる、という恐ろしい一念のみ。そしてついに臥薪嘗胆この日を待ち望んでいた青沼静馬がたった今、私に乗り移っておりました。気づくと私は、電線の上で嘲笑うKsを水攻めにしてやろうとホース片手に道路に仁王立ちしていました。しばらくお互いにらみ合ったまま膠着状態が続きました。こちらが先に水を放てばKは羽ばたきながらフンを放ち、しぶきにまみれてこちらに命中してしまうかもしれません。逆にKが先に逃げればその向きから考えて至近距離となり確実にヒットできそうです。両者が互いに最適化した状態を選択し均衡を保つ、これぞまさしくNash均衡(ノーベル賞をとったゲーム理論。囚人のジレンマに例えられる)そのものでございます。いやいや、そんな理論が通用する相手ではありません。ええいっ、めんどくせー、そんな理論なんかどうでもいい、先手必勝だぁー!
思いっきり水をぶっ放しました。しかしこの時点で私は二つの物理学的かつ超初歩的な過ちを犯しておりました。1)GL±0における水圧と空気抵抗から考えて電線まで水が到達しないこと 2)発射位置が10度の斜面、Kの仰角が80度、10+80=90度、つまり斜方ではなく鉛直投射であること かくして水はKには1滴もかからず、逆に1滴残らず私の顔面にふりかかったのであります。史上最悪かつ無慈悲、当然かつ当たり前かつ自明の結果でした。水素と酸素のコラボは、ゆがんだ放物線を描きながらすべて私の頭頸部にぶち当たりました。かといって沸騰しきった私の頭が冷めるはずもございません。ふと後ろに視線を感じたので振り向くとフランス人的な紳士が冷ややかな眼差しでこちらを見ておりました。通常外人は人と目が合うとその気もないのに口元だけニコっとするものですが今回まるでその気配もございません。左肘関節外側を右たなごろで包み込むこれまた上から目線的な姿勢で、あたかも変なおじさんでも見るかのようにトレビアーン的かつジュタスジュワニジュウ様かつリョーシューショ類の言葉を吐息まじりにオシャレに洩らしてきやがりました。しかしさすがにそれは前歯を下唇がこすりあげる完璧な発音でありました。ただどう考えてもそこ笑うところでしょ、8時だョ全員集合見てねえのかお前、と思った私は思わず「なんだい、ちみはってかっ」と言ってやりました(ウソ)。すると今度は逆サイドから変な声が聞こえました。クウェエ~。見上げるとそれはKの後方はるか上、松の茂みの中からのようです。そこにはなくなったはずの洗濯ハンガーが枝と一緒に重なっていました。巣だっ!
姿こそ見えねど蓋しそこに雛が埋もれていることに疑う余地はありませんでした。その瞬間顔面から血の気が引くのがわかりました。彼は私と同じお父さんなんだ、命を張って子供とおうちを守っているんだ、よしんば水攻めにあっても愛するわが子のために壁となり、決して動きやしないんだ・・・いつしかホースは手から離れ、同時に心の底から恥ずかしくなりました。それは目玉風船でもなく、外人に対してでもありません。理性を失いやっきになって生き物を追い詰める性分を持ちながら、これまで“生きとし生けるものを大切にしよう”などという考えをモットーにしてきたことが、とてつもない偽善に思えたのです。くやし涙が出てきました。さいわい水浸しの顔では目立ちません。ひねった右足も今頃になって痛くなってきました。気付くとフランス人は優しい笑顔でこちらを見ていました。すべてお見通しだったのでございましょう。何だか急に晴れやかな気持ちになりました。見上げるとトチの木の花が西日を浴びてキラキラ輝いておりました。
(だからといって完全にKを許したわけではありません)
不条理
不条理
人に夢を与える人の夢が一瞬にして消される不条理
無念を感じる間もなく荼毘に付された方々の無念を案ずるも具体的に何もできない不条理
病に罪なしの大義のもと罰が消される不条理
合法に奪われるべき命を命がけで救命する不条理
チェーンソーに入れるガソリンを何ならこれから買いに行くことのできる不条理
世の中にあふれかえる不条理に対し憤りを抑えきれないはずの自分が今回何の怒りも感じなかった不条理
その一方で命に直接関係ないであろう早期癌をやっきになって探している自分の不条理
ボードゲーム
「先生、新型コロナって実際のところどうなんですか」「あれはかかると本当に早いよ」「やっぱりそうなんですか」「でもエンジンかかったとたんブッ飛んで速いのは新型スープラだけどな、ハハハ」「・・・冗談言っている場合じゃないですよ先生、今37.5℃でたら大変なんですから」「そんなんじゃ、ぬるくて入れないよ、うちは41度に設定してっから」「・・・」「それコロナのエコキュートの話じゃないの?」「・・・」「ここで一句。コロナにて コロナみながら コロナのむ」「もしかしてそれ、車の中で皆既日食見ながらビール飲んでるって図ですか? 飲酒運転だし、第一季語ないですよ」「コロナだけに春先でしょ、なんつって」「してやったり顔ですね、先生」「君、なんで私がこんなギャグを言うかわかるか?」「さあ」「それは・・オヤジだから」「そこに山があるから、みたいですね。もういいです、ボク忙しいんで、病棟に戻ります」「ごめんごめん、あまりに医局が殺伐としているもんだから、こうでもしなきゃと思ってね。ところで君の質問何だっけ」「実はあれってやっぱり・・先生だから思い切って言っちゃいます・・ただの風邪だと思うんですが」「ほう」「ボクの仮説をきいてくれますか」「いいよ」「この病名、Cとします、が世に知れなかった場合を仮定します。ちなみにボクは政治的背景など一切興味がありません」「なるほど」「医者にCという認識があってもなくても呼吸不全に対する治療法に変わりはありませんよね」「まあ今のところは特効薬もないからね」「高度な医療レベルを前提に考えますが、局地的なアウトブレイクが起こりその医療機関のキャパシティーを超えた場合、関連病院との連携にて相当数カバーできるはずです。一方無症候性あるいは軽症のキャリアであっても本人は風邪程度と考え病院など受診しません」「確かに」「彼らが移動することによりウイルス感染が次第に世界的に拡散しますが、それ自体は風邪と何ら変わりありませんよね」「そりゃそうだ」「たとえ致死率がある程度高くてもパニックが起こらない分、病院では通常の治療戦略に沿った呼吸循環管理ができるはずです」「うん」「でもCという認識がない以上、ロックダウンなどといった政策は施行されないためパンデミックとなり得ますがそれは単なる言葉のインパクトだけで、風邪が流行りだした、と訳して支障はないでしょう」「支障あるよそれ」「その結果生じた死者総数をXとします」「・・」「一方今回はインターネットを通じて一瞬にして”未知なる凶暴ウイルス現る”とう情報がウイルスより何倍も速く世界中に拡散しパニックを引き起こし、それによる副次的な犠牲いわば合併症が無視できないくらいのものとなりました。軽症者が押し寄せたため健全な医療行為ができなくなり、その結果まず重症者が犠牲になる、これを(a)とします。不眠不休で勤務した医師が犠牲になり(b)、その医師を主治医にもつ患者の治療が途絶し(c)、病院の閉鎖が余儀なくされ入院患者の容体が悪化(d)、国策により経済が低迷すると自殺者(e)、受診できず孤独死(f)、貧困・略奪(g)、人間関係悪化・ハンパない不平等感によるmental disorder(h)・・・・(z)となり、ここでa+b+c+・・・+z=Yとします。XとYを比較する際、経済損失の係数λを・・」「もういい、不謹慎だ君は。みんなで力を合わせて頑張っているのにそんな屁理屈は士気をそぐんだよ、直ちに医局を去りなさい!」「まあまあ先生おちついて、他国のことはともかくまず本邦の話をしませんか。肺炎による死者は年間10万人、一方C肺炎は4か月経ってたったの500人です。正直めちゃくちゃ少なくないですか? ちなみに熱中症で1500人も死にます。なのにテレビをつけりゃ毎日毎日、”ピコリーン、本日の感染者数は〇〇人です”、とまるで選挙速報みたいにやるじゃないですか。棒グラフをだして恐怖心をあおるあおる。その人たちが一体どうなったか、そもそも何人検査したのかは決して言わず、”いっぽう死者は××人です”とヤバそうにこそっと言う。あれじゃまるでロシアンルーレットみたいじゃないですか。一般の人がきいたらマジでビビりますよ、あの論法。医者が知りたいのはバイアスだらけの感染者数なんかじゃない、ケースレポートつまり一体どういう経過を追って死に至るのかの詳細だよお。そもそもせっかくWHOがCOVIDって名前つけたのにだれ一人そう呼ばない。まるで羽田空港を誰もビッグバードなんて呼ばないのと一緒、企画倒れだあんな名前っ、まったく一体いつまで新型新型って騒いでんだろう、もうとっくに旧型だよおっ、あー古っ」「ちょっ、大丈夫か、さっきからテンションが・・で一体何が言いたいんだ君は」「はっきり言います。およそ人間はCなんかではなく、がんや脳卒中、心筋梗塞で死ぬんです。しかもCなんか比べものにならないくらいたくさん・・それらの人の治療を普通にしたいだけです、ごく普通に。ついでにボクの初めてのヘルニアのオペも延期になりました、まあそれはいいんですけど・・」「よくわかった、では今度は私の番だ。現在海外で死者が増加しているが君はどう思う?」「ハグの習慣とか、国民皆保険でないとか・・テレビで言ってたけど」「なんだ、めちゃくちゃテレビ見てんじゃん。でも本気でそんなの信じてんのか? 私が思うに、virusの変異型と民族差つまりHLAの違い、そして何といっても・・気候だろう。つまり攻撃側と防御側そして周りの環境、すべてが違うということだ。そもそもアジアではSARS、MERSを含め旧型コロナの頻回の暴露により自然免疫がすでに高いレベルにあるはず。何もみんなで頑張って自粛したから収束に向かっているわけではないんだよお、ほっときゃ勝手に収束すんだあんなもん。なぜかって? 興味なくなって誰も検査しなくなるからだよ! なのに専門家然とした野郎どもがテレビで得意げにぎゃあぎゃあ言いやがって! ウイルスが終息する前にまずこのバカ騒ぎを収束させろっつの!」「おっ先生ものってきましたね」「おう、受診控えでアッペがパンぺリになったり、フリューがアドバンになったら一体どう落とし前つけてくれんだ、おんどりゃあ!」「こわっ、それボクに言ってんすか」「あっまずい、今のノーカンノーカン。病院が赤字続きでちょっとイライラしてしまって、私としたことが本当に申し訳ない、先程の忘れていただければ幸甚に存じます。えーっと、まずアベノマスクつけなきゃ、あとグレムリンも下げてと」「クレベリンのことですか? 先生こそ男らしく行きましょうよ。もうズバリ言ってください。Cっていったい何なんですか?」「風邪だよ」「やったー! やっと意見があいましたね先生」「ただしそれはほんの入り口だけだ。本態は・・」「本態は?」「血栓症だ」「えっ」「しかもターゲットは肺胞じゃない、肺臓と全身の血管だ。剖検データの蓄積によりいずれevidenceとなるだろうが現段階では得体が知れない。だから怖い。君も研修医ならTVなんか見てないでPubMedで文献をあさりまくりなさい、しばらくオペもないんだし」「よくわかりました。やっぱり先生に相談してよかったあ。ところで先生、ボードゲームとか好きですか?」「うんまあ、けっこう」「じゃ、やりましょうよ。ボクんち雨漏りしてるから3密じゃないし」「で何?」「パンデミック!」「コラっ」
経済
オシドリ夫婦デ有名ナタレント甲ト乙デアッタガ甲ハ丙ト不貞ヲハタラキソレヲ知ッタ乙ガ激怒カギツケタ丁ガネタヲ戊ニタレコンダトコロ記事ニサレ購読者己ガ人ノ不幸ハ蜜ノ味トバカリニ面白ガッテSNSデ拡散スルコト際限ナシコレハイケルト庚ガ番組ニスルヤタチマチ話題トナリスベカラクスポンサー辛ガツイテ商品バカ売レトドマルコトヲシラズ汚名転ジ一躍有名トナッタ甲ハ乙トノ関係ガ正常化イッポウ丙ハ上場企業トナッタ辛ノ社長壬ト懇ロニナリ癸ガ生マレタ
問 この過程で最も幸せになったのは誰か
答 国家
解 経済が回ったから
そうなんです。いまどき誰が得しただの、誰が犠牲になっただの、感染者が今日は何人だの、そんなこたぁはどうだって良いのです。要するに経済が回ればそれでよし。だって国が潤うんだからみんな幸せでしょ、と。
”人命第一”なんて今に死語になったりして?(って誰か言ってました。たぶん)